1758池上彰・佐藤優著『激動 日本左翼史——学生運動と過激派 1960-1972——』

書誌情報:講談社現代新書(2643),266頁,本体価格920円,2021年12月20日発行

学生運動や社会運動の最盛期にあたる時期の左翼論は同時代に学生時代を始めた評者には臨場感があった。本書の描く左翼のうち日本共産党は「スターリン主義という宗教」を本質としており,今も変わらないという主張で一貫している。また,新左翼運動は「政治的には全く無意味な運動だった」(246ページ)・「「ゴロツキ」化」(252ページ)したと言って憚らない。
出版順・時代順の真説→激動→漂流の読み方をしなかったせいか,著者による左翼史が失敗史に帰着したのは,革命を標榜した思想と運動をすべからく左翼とした捉え方と無縁ではない。