937森岡孝二著『教職みちくさ道中記』

書誌情報:桜井書店,317頁,本体価格1,800円,2014年3月31日発行

教職みちくさ道中記

教職みちくさ道中記

  • -

森岡さんの本や情報についてはこのエントリーで随分取り上げさせてもらってきた。その森岡さんが関西大学を退職するにあたってこれまで書きためてきた小論,エッセイ,書評をまとめたのが本書である。探鳥エッセイ,イギリスとアメリカの大学への滞在記,株主オンブズマン関連の新聞への寄稿文,30本の書評,働き方ネット掲載稿と硬軟織り交ぜた構成になっている。
森岡ウォッチャーではないがかなりの文章は読んでいる(関連エントリー参照)。英米大学滞在記,新聞寄稿文,書評は本書によってまとめて読むことができた。森岡さんの文章にはまことしやかな自慢話やはったりをきかせたものは皆無で,企業社会や長時間労働,過労死などのように対象の重さにもかかわらずさわやかである。それでいて寸鉄人を刺すのごとく切れがいい。
奥さん作のハガキ絵とお堅い桜井書店の本にしては斬新な装丁・レイアウトが本書をさらに引き立てていた。
帯に「経済言論学者の嬉し悲しいエッセイ集。」とある。本書の内容に即してあえて「経済言論学者」にしてひねりをきかせたのかなと思いつつも,「経済言論学者」は存在しないので「経済原論学者」の誤植だろう。(誤植と思わせる著者のひねりを読み取らないといけなかった。後日記す。)