1690橘木俊詔・小林哲夫著『日本の「学歴」——偏差値では見えない大学の姿——』

書誌情報:朝日新聞出版,291頁,本体価格2,000円,2022年11月30日発行

政治家・法曹・公務員・士業,教員・医療職,就職者・社長,スポーツ・文学賞,女性の活躍,研究の世界,大学教員,国際化の章毎に大学ランキングと解説を加えている。
「政治家,官僚,学者の出身大学をみると東京大が他を圧倒します。しかし,警察官,消防官,幼稚園教員,小学校教員,建築士,看護師,助産師,放射線技師などから出身大学を眺めてみると,東京大あるいは早慶のような有名大学はあまり出てきません。日本を動かしているのは東京大出身の官僚,政治家と言われますが,そればかりではない」(「あとがき」288ページ)。
本文中に国立大学教員は官職ではないにもかかわらず「国立大を定年退官後」(246ページ)の表記があり,また,10年以上前の資料を使っている箇所があった。日本学術会議に触れ,2000年以降「東京大の寡占化」が進んでいること(262ページ),1970年当時の三輪知雄の著書を引用し,「学術会議は左翼の集まり」(同上)としながら,「政権,ときの国家権力にもの言ってこそ,学者,アカデミズムの存在価値があるはずだ」(264ページ)とバランスを取っている。