1742阿部恭子著『高学歴難民』

書誌情報:講談社現代新書(2722),188頁,本体価格900円,2023年10月20日発行

現代の新しい社会的弱者である高学歴難民の実態は過酷だ。加害者家族の実態調査と支援活動に取り組む著者による学歴偏重社会の告発は重い。
犯罪者になった高学歴難民,博士課程難民,法曹難民,海外留学帰国難民などの10数例や高学歴難民の家族の声だけでなく,孤立する高学歴難民の構造に切り込んでいる。
大学院入学の選択が難民化の分岐点になっており,社会的な役割が不明なまま難民化し,「高学歴難民の高学歴コンプレックス」が深刻化する。社会のせいにせず,なんらかの行動による未来の開拓の方向性は気休めではないはずだ。