1702オラシオ著『図書館ウォーカー——旅のついでに図書館へ——』

書誌情報:日外アソシエーツ,229頁,本体価格2,300円,2023年1月25日発行

旅のついでに図書館を訪ねつ「図書館ウォーカー」による図書館(公民館図書館や図書コーナー)訪問記である。その数73館(館)で,蔵書数や入館者数などの図書館情報は一切なく,県庁所在地の大きな図書館から地元の人に愛される小さな街の小さな図書館が対象だ。
京都市岩倉図書館はすぐ近くに住んでいながら図書館の存在すら気がつかなかった。愛媛県内では唯一(今治市大三島図書館はコラムで「海が見える図書館」として出てくる)紹介されている宇和島市簡野道明記念吉田町図書館は外観はお寺で,「日本一図書館に見えない図書館」だそうだ。ここも本書で教えてもらった。
津軽地方で発行されている新聞『陸奥新報』に2019年11月から連載中の「図書館ウォーカー」から編まれた書物で,著者はかつて図書館員として働いた経験がある。「図書館員として働いていた頃から疑問に感じていたのだが,どうして「郷土資料コーナー」は(図書館の:引用者注)奥のほうにあるのだろうか」(79ページ)。「旅のついでに図書館」から見えてくる図書館の風景は新鮮だった。