1057樋渡啓祐著『沸騰!図書館――100万人が訪れた驚きのハコモノ――』

書誌情報:角川oneテーマ21(D-23),221頁,本体価格800円,2014年5月10日発行

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著者が市長在任中の2013年4月にリニューアルオープンした武雄市図書館はTSUTAYAを運営するCCC(カルチュア・コンビニエンス・ストア)を指定管理者とする運営によって大きな話題となった。利用者,見学・視察者の急増もあり,「街づくりのエンジン」になった。
毀誉褒貶なかばする著者の政治家としての評価は別にしても,これまでにない図書館を構想し実現した手腕は評価されていい。固定観念が強いこれまでの図書館への挑戦であり,徹底した利用者視線は自画自賛でもなく「奇跡の公共施設」(191ページ)になった。
CCCを指定管理者にすることによって市民価値を実現すると謳った項目のうち,現在でも評価がわかれているのがTカード,Tポイントの導入だ。20万冊の知に出会える場所,雑誌販売の導入,映画・音楽の充実,文具販売の導入,電子端末を活用した検索サービス,カフェ・ダイニングの導入,CCCの品揃えやサービスのノウハウ導入,365日・朝9時〜夜9時までの開館時間はむしろひとつのモデルになった。
地域の図書館においても知のインフラとしての役割は変わることはない。そのアプローチを工夫し話題をつくり地域活性化の一助にした著者の才覚と図書館づくりからは学ぶことのほうが多い。