829岩間一弘・金野純・朱珉・高綱博文編著『上海――都市生活の現代史――』

書誌情報:風響社(あじあブックス3),350頁,本体価格1,800円,2012年4月18日発行

上海:都市生活の現代史 (風響社あじあブックス 3)

上海:都市生活の現代史 (風響社あじあブックス 3)

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上海生活の変化に視点を置いた上海生活100年史である。100年という上海史を革命,戦争,事件だけでなく政治,経済,文化にいたる都市空間の多様性を文章と図版で解説している。
100年の間に経済成長と生活向上を体験した時代はおおよそ半分であり,国内外の政治に翻弄されてきた。辛亥革命中華民国成立,日中全面戦争勃発,中国革命=中華人民共和国成立,改革・開放路線決定,鄧小平「南巡講話」という6つの「便宜的な画期」はそれをものがたっている。
「東洋の真珠」「太平洋の女王」と言われた繁栄の時期から傀儡政権による統治や新政権下の統制,震源地となった文革と改革・開放と「上海スピード」と呼ばれる高度成長にいたる通史的概説を太い骨格でおさえ,都市生活の描写と日本・日本人の関わりを論じている。
概論を横組み1段,各論を同2段で構成し,漢字へのひらがなと中国語読みへのカタカナのルビもある。ガイドブックにはない歴史認識と多くのエピソードは上海の素顔を写し出している。