2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

016『国富論』翻訳略史(戦後編)

昨日につづいて戦後編。筆者の場合,下記(23)を愛用してきた。学生・大学院時代の新訳だったこと,文庫版で入手しやすかったこと,訳者に尊敬する先生が加わっていたこと,図を含む訳注が詳しかったことなどがその理由だ。『資本論』から引用するとき,今で…

015『国富論』翻訳略史(戦前編)

田中さんがEconomic Lovers Live(http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20070327#p2)で『国富論』新訳について触れていた。講義資料のために作りかけのものに手を加えて,年表風にメモを作成してみた。 『国富論』は明治始めから日本語に翻訳された。時代…

014マルクス切手

この話題はどうみても郵便学者・内藤陽介(http://yosukenaito.blog40.fc2.com/)さんのテリトリーだ。ただ内藤さんはまだマルクス切手には触れていないようなので,確信犯で領海を侵犯してみる。 鈴木鴻一郎『資本論遍歴』(日本評論社,1971年7月,どこに…

013夏目漱石『明暗』のなかの「経済学の独逸(ドイツ)書」再論(その3)

漱石と『明暗』を巡っては「則天去私」思想との関連,欧米発の社会主義思想との整合性などについて議論があるようだが,ここではかの「経済学の独逸書」とは『資本論』ドイツ語版らしい状況についてまとめて記しておこう。 (1)イギリス留学中に漱石としばら…

012夏目漱石『明暗』のなかの「経済学の独逸(ドイツ)書」再論(その2)

漱石はイギリス留学中(1900年10月〜1902年12月)に『資本論』第1巻英語訳(1902年刊)を購入している(1901年11月以降に購入)。011(https://akamac.hatenablog.com/entry/20070324/)で触れたように,東北大学附属図書館「漱石文庫」にその『資本論』があ…

011夏目漱石『明暗』のなかの「経済学の独逸(ドイツ)書」再論

夏目漱石(1867-1916)の『明暗』は,『朝日新聞』1916(大正5)年5月26日から12月14日まで188回にわたって連載された未完の作品である。漱石は12月9日に死亡したからである。この『明暗』に書名が明示されないある洋書が出てくる。(以下,引用は「青空文庫…

010アダム・スミスとAuld Lang Syne

今日は,私ことakamacが勤める大学の卒業式があった。学歌と「蛍の光」を演奏・斉唱するならわしになっている。そういえば「蛍の光」で思い出したことがある。スミスと「蛍の光」の原曲Auld Lang Syneとの関係だ。 アダム・スミス(1723-1790)はスコットラ…

015二宮厚美著『ジェンダー平等の経済学――男女の発達を担う新福祉国家へ――』

書誌情報:新日本出版社,397頁,本体価格2,400円,2006年10月30日ジェンダー平等の経済学―男女の発達を担う福祉国家へ作者: 二宮厚美出版社/メーカー: 新日本出版社発売日: 2006/10メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (9件) を見る初出:…

018玉木欽也監修・齋藤裕/松田岳士/橋本諭/権藤敏彦/堀内淑子/高橋徹著『eラーニング専門家のためのインストラクショナルデザイン』

書誌情報:東京電機大学出版局,xv+189頁,本体価格2,400円,2006年5月10日eラーニング専門家のためのインストラクショナルデザイン作者: 齋藤裕,松田岳士,橋本諭,権藤俊彦,堀内淑子,高橋徹,玉木欽也出版社/メーカー: 東京電機大学出版局発売日: 2006/05メデ…

017前川恒雄・石井敦著『新版 図書館の発見』

書誌情報:日本放送出版協会(NHKブックス1050),237頁,本体価格920円,2006年1月30日新版 図書館の発見 (NHKブックス)作者: 前川恒雄,石井敦出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2006/01/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 63回この商…

016逸村裕・竹内比呂也編『変わりゆく大学図書館』

書誌情報:勁草書房,ix+232頁,本体価格2,900円,2005年7月20日変わりゆく大学図書館作者: 逸村裕,竹内比呂也出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2005/07メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (7件) を見る初出:コンピュータ利用教育協議会…

014大村泉・窪俊一・V.フォミチョフ・R.ヘッカー編集『ポートレートで読むマルクス――写真帖と告白帖にみるカール・マルクスとその家族――』

書誌情報:極東書店,618頁,2005年4月15日,全2巻,本体価格7,282円,12,000円(ISBN:4873940028),CD-ROM付き15,000円(ISBN:487394001X) 初出:『図書新聞』第2731号, 2005年6月25日 - デジタル・マルクスの壮大なこころみ 140年前のマルクス一家が一…

015吉田文/田口真奈/中原淳編著『大学eラーニングの経営戦略――成功の条件――』

書誌情報:東京電機大学出版局,ix+209頁,本体価格2,700円,2005年3月20日大学eラーニングの経営戦略―成功の条件作者: 吉田文,中原淳,田口真奈出版社/メーカー: 東京電機大学出版局発売日: 2005/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る初出:…

014永崎研宣著『文科系のための情報発信』

書誌情報:東京電機大学出版局,viii+181頁,本体価格2,400円,2004年2月20日【永崎の「崎」は正しくは「大」ではなく「立」。「研宣」は「きよのり」と読む。】文科系のための情報発信リテラシー作者: 永崎研宣出版社/メーカー: 東京電機大学出版局発売日: …

013歌田明弘著『「ネットの未来」探検ガイド――時間と言葉の壁を超える――』

書誌情報:岩波アクティブ新書99,ix+187頁,本体価格760円,2004年1月7日「ネットの未来」探検ガイド―時間と言葉の壁を超える (岩波アクティブ新書)作者: 歌田明弘出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/01/07メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含…

013早坂啓造著『「資本論」第II部の成立と新メガ――エンゲルス編集原稿(1884-1885年・未発表)を中心に――』

書誌情報:東北大学出版会,335頁,本体価格3,000円,2004年4月14日『資本論』第2部の成立と新メガ―エンゲルス編集原稿(1884‐1885年・未公表)を中心に作者: 早坂啓造出版社/メーカー: 東北大学出版会発売日: 2004/05メディア: 単行本 クリック: 1回この商品…

012渡辺雅男著『階級!――社会認識の概念装置――』

書誌情報:彩流社,286+24頁,本体価格3,000円,2004年1月15日階級!―社会認識の概念装置作者: 渡辺雅男出版社/メーカー: 彩流社発売日: 2004/01/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 28回この商品を含むブログ (10件) を見る初出:新日本出版社『経済』第…

009経済学史研究の集成と現代

初出:メディアと経済思想史研究会『メディアと経済思想史』第4号,2003年5月31日 - この国にあってすくなくともいわゆる「団塊の世代」以上の年齢の研究者にとっては経済学史研究は独特の意味と内容をもって受けとめられている。まさしく「時流にくみしない…

011佐野眞一著『だれが「本」を殺すのか』

書誌情報:プレジデント社,461頁,2001年2月15日,本体価格1,800円だれが「本」を殺すのか作者: 佐野眞一出版社/メーカー: プレジデント社発売日: 2001/02メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 10回この商品を含むブログ (45件) を見る初出:メディアと経済…

012吉田文著『アメリカ高等教育におけるeラーニング――日本への教訓――』

書誌情報:東京電機大学出版局,x+243頁,本体価格3,000円,2003年3月20日アメリカ高等教育におけるeラーニング―日本への教訓作者: 吉田文出版社/メーカー: 東京電機大学出版局発売日: 2003/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る初出:コン…

011野村一夫『インフォアーツ論――ネットワーク的知性とはなにか?――』

書誌情報:洋泉社新書079,192頁,本体価格720円,2003年1月22日インフォアーツ論―ネットワーク的知性とはなにか? (新書y)作者: 野村一夫出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2003/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (16件) を見る初…

010重田澄男著『資本主義を見つけたのは誰か』

書誌情報:桜井書店,308頁,本体価格3,500円,2002年4月5日,asin:4921190151 初出:経済理論学会第50 回大会(岐阜経済大学)第9 分科会:書評分科会報告,2002年10月19日 - はじめに 「ヨーロッパ諸国における膨大な文献(著書,論文,新聞・雑誌記事,パ…

001Economics Lovers Liveの威力

- 昨日,田中秀臣さんの旧著『沈黙と抵抗――ある知識人の生涯,評伝――』の書評を掲載した。あわせて,「akamacのアンテナ」から田中さんのブログ Economics Lovers Live にリンクしたところ,早速 akamac book review を紹介してくださった。 http://d.hatena…

009田中秀臣著『沈黙と抵抗――ある知識人の生涯,評伝・住谷悦治――』

書誌情報:藤原書店,292頁,本体価格2,800円,2001年11月30日沈黙と抵抗―ある知識人の生涯、評伝・住谷悦治作者: 田中秀臣出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2001/11/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (20件) を見る初出:メールマガ…

008竹内洋著『大学という病――東大紛擾と教授群像――』

書誌情報:中央公論新社(中公叢書),294頁,本体価格1,800円,2001年10月10日大学という病―東大紛擾と教授群像 (中公叢書)作者: 竹内洋出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2001/10/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (8件…

010歌田明弘著『インターネットは未来を変えるか?――科学技術を読み解く――』・『インターネットは未来を変える?――現代社会を読み解 く――』

書誌情報:アスキー出版局,285頁;302頁,本体価格各1,600円,2001年7月5日インターネットは未来を変えるか?―科学技術を読み解く作者: 歌田明弘出版社/メーカー: アスキー発売日: 2001/06/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見るインターネッ…

009西垣通著『IT革命――ネット社会のゆくえ――』

書誌情報:岩波新書729,iv+189頁,本体価格700円,2001年5月18日IT革命―ネット社会のゆくえ (岩波新書)作者: 西垣通出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2001/05/18メディア: 新書購入: 3人 クリック: 40回この商品を含むブログ (9件) を見る初出:コンピュー…

008『資本論』,そして「労働日」――経済学対話――

初出:旬報社,『ポリティーク』第2号,2001年9月25日,ISBN:4845107074 - はじめに 四月の某日大学の二回生のAさん(女子学生)とB君(男子学生)が,中年真っ盛りの僕の研究室を訪れました。二人の学生はあるサークルに加入し,フィールドワークを中心にさ…

007市原健志著『再生産論史研究』

書誌情報:八朔社,iv+337頁,本体価格6,000円,2000年10月20日,asin:4938571870 初出:新日本出版社『経済』第71号,2001年8月1日(縦書きのため,数字類は漢数字のままになっています。) - はじめに 『資本論』第二部第三篇「社会的総資本の再生産と流通…