1857松井智子著『バイリンガルの壁ーー子どものことばの発達をどう支えるかーー』

書誌情報:岩波新書(2084),8+228頁,本体価格960円,2025年10月17日発行

世界人口の半数以上が二つ以上のことばを使っているそうだ。そうしたバイリンガルの実情からすると,日本語モノリンガルの評者からはうらやましく感じる。ことばを使うという行為は言語学,人間発達論,認知科学など複雑に絡み合っている。日本語を母語とし,英語を第二言語にする場合でも,年齢,家庭環境,教育環境など多くの要因が関係する。「子どもが二つの言語をうまく操れるようになるには,母語をしっかりと獲得することが鍵」(83ページ)と,著者は言う。
「日本人が英語の学習言語を身につけるためには,第一言語である日本語で高いレベルの学習言語をまず身につけることが,一番の近道」(106ページ)には合点がいく。日本語第一言語モノリンガルでも日本語が勝手に身につくわけではない。外国語習得が移民問題ウェルビーイングとも結びつくことを教えてもらった。