1431令和6(2024)年度SDGs達成の担い手育成(ESD)推進事業

19件の申請から11件が採択された(→https://www.mext.go.jp/unesco/018/1416144_00008.htm)。

(1)カリキュラム等開発・実践
・環境自治体会議環境政策研究所「インカレSDGsプロジェクトーー異世代・多地域連携型の個別最適な学びと協働的な学びを社会や人生に活かすーー」
信州大学ユネスコエコパークを核としたESD/SDGs実践カリキュラム開発支援と国際交流の促進」
静岡大学「社会教育・学校教育融合型のESDを主眼としたカリキュラムパッケージの開発」
愛媛大学「概念型カリキュラムによるESD地域展開を支える4領域連携モデル」

(2)教師教育の推進
・グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)「SDGs達成に向けた変容と共創を促す「教育ファシリテーター」養成プログラム」
聖心女子大学「「ユネスコ教育勧告」普及のための教材開発及び教員研修モデルの構築」
・金沢大学「SDGs達成に向けたeラーニング教材開発及びコミュニティづくりによる教員等の専門能力開発」
奈良教育大学「オンライン・対面方式の融合によるESDティーチャープログラム(研修認証制度)の全国展開」
広島大学「地域社会と共にSDGs実現の中核を担う包括的教員研修システムの構築」

(3)多様なステークホルダーとの協働による人材育成
横浜市教育委員会「「自ら学び 社会とつながりともに未来を創る人」を育成するための,地域・社会との連携・協働に関する研究と成果の普及」
・地球環境戦略研究機関(IGES)「環境課題から学びと社会をつなぐ SDGsグローバル人材育成プログラム 」

1763渋沢栄一(述)梶山彬編『論語と算盤』(東亜堂書房版,1916年)デジタルアーカイブ

公益財団渋沢栄一記念財団は,今年7月に新一万円札の肖像となる渋沢の10篇90章からなる訓話集『論語と算盤』をデジタル化し,無料公開した(2024年3月29日)。
本書の詳しい解説とテキストを読むことができる。画像とTEI/XMLについては「近日公開予定」となっている。
渋沢栄一については,最近も清水建設イノベーションや人材育成の拠点「温故創新の森 NOVARE」(東京都江東区)に旧邸宅を移築したニュース(朝日新聞2024年3月19日付)や『論語と算盤』の紹介(同上2024年4月4日付)を目にしていた。

1762片山まび・杉山享司・古屋真弓・芦生春菜・田代裕一朗著李芝賢韓国語訳『柳宗悦の心と眼ーー日本民藝館所蔵朝鮮関連資料をめぐってーー』

書誌情報:東京藝術大学出版会,526頁,本体価格6,000円,2023年12月26日発行

柳宗悦は1916年から1940年まで21回朝鮮を訪れている。柳27歳から51歳にあたる。本書は,日本民藝館所蔵の柳宗悦朝鮮関連資料(肉筆原稿,冊子,刊行書籍を中心とした参考資料)の悉皆調査報告である。
柳は,朝鮮をくまなく歩き陶磁器や民芸品・工芸品を蒐集し,当地に私設の朝鮮民族美術館をつくった。この資金は,日本の『白樺』同人,朝鮮文芸誌『廃墟』同人,妻兼子による日本国内や朝鮮各地で開催した音楽会での収益金などでまかなわれた。柳が朝鮮総督府の方針に逆らい光化門の保存・移築でその破壊を免れたことはよく知られている。柳自身,文章を書き運動を広げるきっかけになった2つのことーー光化門の保存・移築と沖縄県当局による沖縄方言撲滅論にたいする沖縄方言保護論ーーを述懐している。
柳の「(芸術こそが)只此世に真の平和や友情を内側から持ち来すもの」を実感する一次資料である。

1430処分にほど遠い処分

裏金事件の処分が決まった。時効になっていない過去5年分のみの「調査」と岸田文雄二階俊博両氏の処分なしやもっとも重い処分で「離党勧告」では納得できるわけがない。「役職停止」や「戒告」はいわずもながである。これで裏金問題の幕引きを引かせてはならないし,軽すぎ処分による真相解明への蓋閉めを許してはいけない。
自民党が公表した議員処分や政治資金の不記載などの額を記載し,ねちねちと批判を続け,「説明責任」を果たしてもらおうと思う。

二階俊博(和歌山3)3526万円(以下単位は同じ) 処分なし
三ツ林裕巳(埼玉14)2954 役職停止1年
・羽生田光一(東京24)2728 役職停止1年
山谷えり子参院比例)2403 役職停止1年
堀井学(比例北海道)2196 役職停止1年
橋本聖子参院比例)2057 役職停止1年
武田良太(福岡11)1926 役職停止1年
中根一幸(比例北関東)1860 役職停止6カ月
平沢勝栄(東京17)1817 役職停止1年
・簗和生(栃木3)1746 役職停止6カ月
・林幹雄(千葉10)1608 役職停止1年
杉田水脈(比例中国)1564 役職停止6カ月
世耕弘成参院和歌山)1542 離党勧告
宮本周司参院石川)1482 役職停止6カ月
・宗清皇一(比例近畿)1408 役職停止6カ月
・菅谷一郎(比例東北)1289 役職停止6カ月
小田原潔(東京21)1240 役職停止6カ月
衛藤征士郎(大分2)1070 役職停止6カ月
松野博一(千葉3)1051 役職停止1年
・高木毅(福井2)1019 資格停止6カ月
大塚拓(埼玉9)994 戒告
・和田義明(北海道5)990 戒告
中山泰秀(元大阪4)908 戒告
柴山昌彦(埼玉8)896 戒告
・堀井巌(参院奈良)876 戒告
関芳弘(兵庫3)836 戒告
丸川珠代参院東京)822 戒告
羽生田俊参院比例)818 戒告
岡田直樹参院石川)774 戒告
吉野正芳(福島5)660 戒告
・加田裕之(参院兵庫)648 戒告
・尾身朝子(比例北関東)623 戒告
・末松信介(参院兵庫)584 戒告
細田健一(新潟2)564 戒告
山田宏参院比例)560 戒告
西村明宏(宮城3)560 戒告
高鳥修一(比例北陸信越)544 戒告
下村博文(東京11)476 資格停止1年
根本幸典(愛知15)420 処分なし
西田昌司参院京都)411 処分なし
石井正弘参院岡山)378 処分なし
義家弘介(比例南関東)369 処分なし
若林健太(長野1)368 処分なし
亀岡偉民(比例東北)348 処分なし
上野通子参院栃木)318 処分なし
・上杉謙太郎(比例東北)309 処分なし
佐藤啓参院奈良)306 処分なし
森雅子参院福島)282 処分なし
鈴木英敬(三重4)280 処分なし
・江島潔(参院山口)280 処分なし
赤池誠章参院比例)268 処分なし
吉川有美参院三重)240 処分なし
木村次郎(青森3)236 処分なし
塩谷立(比例東海)234 離党勧告
青山周平(比例東海)230 処分なし
・今村洋史(元比例東京)220 処分なし
太田房江参院大阪)214 処分なし
松川るい参院大阪)204 処分なし
稲田朋美(福井1)196 処分なし
・谷川とむ(比例近畿)188 処分なし
・佐々木紀(石川2)184 処分なし
井上義行参院比例)178 処分なし
・井原巧(愛媛3)168 処分なし
宮内秀樹(福岡4)161 処分なし
・宮沢博行(比例東海)132 処分なし
北村経夫参院山口)118 処分なし
長峯誠参院宮崎)116 処分なし
西村康稔(兵庫9)100 資格停止1年
野上浩太郎参院富山)100 処分なし
福田達夫(群馬4)98 処分なし
越智隆雄(比例東京)84 処分なし
衛藤晟一参院比例)80 処分なし
山田美樹(東京1)76 処分なし
・小森卓郎(石川1)70 処分なし
田畑裕明(富山1)68 処分なし
鈴木淳司(愛知7)60 処分なし
酒井康行参院愛知)58 処分なし
・山本順三(参院愛媛)58 処分なし
・加納陽之助(衆院候補者)40 処分なし
石田昌宏参院比例)26 処分なし
高橋はるみ参院北海道)22 処分なし
・藤原崇(岩手3)14 処分なし
宮下一郎(長野5)12 処分なし
・加藤竜祥(長崎2)10 処分なし
山崎正昭参院福井)4 処分なし
・合計5億7949万円

1761岩倉博著『吉野原三郎の生涯ーー平和の意志 編集の力ーー』

書誌情報:花伝社,xvi+295頁,本体価格2,000円,2022年5月25日発行

吉野は『君たちはどう生きるか』の著者として,岩波書店『世界』の元編集長として知られている。『君たちはどう生きるか』は岩波文庫で長年にわたり読みつがれ,漫画になり,ジブリ作品となり,アカデミー長編アニメ映画賞を受賞した。また,『世界』は1946年創刊の月刊総合雑誌として知られ,「社会の多様性を反映した執筆陣とともに,いっそう身近で,血の通った雑誌を目指し,アカデミア・社会運動・ジャーナリズムを結んでいきますと四半世紀ぶりにリニューアルした(,2024年1月号から)。
本書は,『君たちはどう生きるか』の著者として知られてはいるが,「どう生きたのか」はあまり知られていない吉野の生涯を描いた作品である。『君たちはどう生きるか』は,「日本少国民文庫」(新潮社)の一冊として企画され,山本有三が執筆予定だった。ところが,山本が眼底出血を起こし網膜剥離の危険に見舞われたため吉野が筆を執り刊行されたものだ(山本有三名,1937年7月)。「東大助手丸山眞男も一読して感動し,常磐炭鉱の労働者たちは山代吉宗・巴(作家)夫妻を介して,これをテキストにして読者会を開くほどだった」(64ページ)。また,「新編 日本少国民文庫」(全12巻)の刊行のさいには(1956年),早慶戦から巨人・南海戦への変更やリンカーン「人民の父」の書き下ろしの事情もわかる。
岩波新書(1938年),『国富論岩波文庫版(大内兵衛訳,1940年),『世界』発行の経緯(同心会安倍能成監修のもと柳宗悦宅で誌名決定),戦後の岩波新書青版,岩波出版通信から『図書』への改名(1949年11月号から),岩波少年文庫誕生など出版事情も詳しい。ノーマン死去1周年に夫人からの申し出で印税をもとにした明治市研究学生へのノーマン賞が作られたことも初めて知った。
吉野は国際ジャーナリスト機構のIOJ賞を受賞した(1980年)。サンフランシスコ講和と安保問題,ベトナム戦争や核戦争の危機に直面しながら人間の尊厳と平和擁護に努力したことが評価されてのことだった。
告別式での古在由重の弔辞が引用されていた。「わが吉野原三郎君よ。ここに一粒の麦は地に落ちました。しかし,かならずや数しれぬ実がむすばれるにちがいありません」(269ページ)。

1760岩倉博著『ある戦時下の抵抗ーー哲学者・戸坂潤と「唯研」の仲間たちーー』

書誌情報:花伝社,250+12頁,本体価格2,000円,2015年8月20日発行

若き京都学派で,マルクス主義哲学者で戦前の唯物論研究会を主導した戸坂潤と三木清は,ともに1945年に獄死している。検挙の理由にされた治安維持法廃止がGHQの指令によって廃止された10月15日の直前,戸坂は長野刑務所,三木は豊多摩刑務所においてである。戦後に発足した民主主義科学者協会や現在の日本科学者会議は戸坂や三木たちが命をかけて開拓した反ファシズムと民主主義運動の延長に位置する。
「おけさほど唯物論はひろがらず」(戸坂,2935年8月佐渡)とはいえ,おけさのように戦時下の抵抗思想と運動は継承されている。

1429馬鹿野郎:500万円以上が処分審査対象者でいいわけない

自民党党紀委員会の処分審査対象者は2018〜2022年の不記載などの額が500万円以上の議員に限定されるという(500万円未満だが派閥幹部だった下村博文塩谷立西村康稔は処分審査対象者だが,次期衆議院選挙不出馬表明の二階俊博は審査対象外)。国民を馬鹿にするのもいい加減にしてほしい。
あらためて,2020年度〜2022年度の清和政策研究会政治資金収支報告書の数字を掲げておく。

青山周平(比例東海)72万円(以下単位は同じ)
池田佳隆(比例東海)3208
稲田朋美(福井1)196
・井原巧(愛媛3)168
・上杉謙太郎(比例東北)286
衛藤征士郎(大分2)970
大塚拓(埼玉9)874
小田原潔(東京21)844
越智隆雄(比例東京)18
・尾身朝子(比例北関東)367
・加藤竜祥(長崎2)10
亀岡偉民(比例東北)292
菅家一郎(比例東北)678
木村次郎(青森3)144
・小森卓郎(石川1)70
・佐々木紀(石川2)166
塩谷立(比例東海)196
柴山昌彦(埼玉8)556
下村博文(東京11)440
杉田水脈(比例中国)872
鈴木英敬(三重4)280
鈴木淳司(愛知7)52
関芳弘(兵庫3)524
・高木毅(福井2)865
・高鳥秀一(比例北陸信越)484
・谷川とむ(比例近畿)134
谷川弥一(長崎3)2303
田畑裕明(富山1)44
中根一幸(比例北関東)434
西村明宏(宮城3)554
西村康稔(兵庫9)70
根本幸典(愛知15)396
萩生田光一(東京24)1952
福田達夫(群馬4)94
・藤原崇(岩手3)10
細田健一(新潟2)474
堀井学(比例北海道)1086
松野博一(千葉3)865
三ツ林裕巳(埼玉14)1808
・宮沢博行(比例東海)132
宮下一郎(長野5)12
・宗清皇一(比例近畿)854
・簗和生(栃木3)924
山田美樹(東京1)34
義家弘介(比例南関東)363
吉野正芳(福島5)414
若林健太(長野1)184
・和田義明(北海道5)710
赤池誠章(比例)98
石井正弘(岡山)198
石田昌宏(比例)26
井上義行(比例)170
上野通子(栃木)188
・江島潔(山口)240
太田房江(大阪)16
・小野泰正(岐阜)3146
岡田直樹(石川)596
・加田裕之(兵庫)648
北村経夫(山口)98
佐藤啓(奈良)236
・末松信介(兵庫)582
世耕弘成(和歌山)836
高橋はるみ(北海道)22
長峯誠(宮崎)78
西田昌司(京都)234
野上浩太郎(富山)92
橋本聖子(比例)289
羽生田俊(比例)634
・堀井巌(奈良)466
松川るい(大阪)194
丸川珠代(東京)512
宮本周司(石川)974
山谷えり子(比例)1519
・山本順三(愛媛)34
吉川有美(三重)
馳浩(石川県知事)601
細田博之(前衆議院議長)210
上野宏史(比例南関東)781
中川雅治(東京)20
・山田修治(石川)365
中山泰秀(大阪4)596
岩城光英(福島)132
・長尾敬(大阪14)282
岸信夫(山口2)30
・古田圭一(比例中国)42
・磯崎陽輔(大分)82
・今村洋史(比例東京)220
加藤寛治(長崎2)26
・加納陽之助(衆院候補者)40
・合計4億2726万

おりしも2024年度の政党交付金の交付額が決定した(総務省)。これだけ多額の政党交付金与野党の政党に交付されている(日本共産党とみんなでつくる党は交付申請していない)。

自民党:160億5300万円(前年比1億4300万年増)
立憲民主党:68億3500万円(同上200万円増)
日本維新の会:33億9400万年(同上4200万円増)
公明党:29億800万円(同上3800万円増)
・国民民主党:11億1900万円(同上5300万円減)
・れいわ新選組:6億2900万円(同上900万円増)
社民党:2億8800万円(同上2800万円増)
・参政党:1億8900万円(同上400万円増)
・教育無償化を実現する会:1億1800万円(新)